様々な人間との色々な会話

在りし日の僕と僕以外の誰かの会話

思う事が在り、丁度、ゴールデンウィーク付近の時期に様々な人間と会う機会が在り色々な話を行なったので抜粋してみる。

「少し話を聴いて欲しいのだが構わないかな?」
「僕は構わないよ。何だい?」
「恋人と友人の違いとは何だと思う?」
「聴いてほしいのではなく言ってほしいだったのかな?」
「両方だよ。いきなり出鼻を挫かないでくれ」
「いや、すまない。で、恋人と友人の差異だったね。色々在ると思うけれど、君は違うのかな?」
「分からない。色々在るのかもしれないとも、何一つとして無いのかもしれないとも、思う。只ね、表面的な事象としては一つしかないと思う」
「一つしかない。そのように自分の中で答が在るのなら質問の意味が無いと思うけれど?」
「その答に自信が無いから訊きたいのだよ」
「確認作業に付き合えという事かい。良いだろう。それで?」
「一つというのはね、セックスを行なうか行なわないかという事だと思うのだよ。遊ぶだけならば友人でセックスが加われば恋人、というように」
「それが差異、ね。ふふふ。その定義ではセックスフレンドとは実に微妙な関係になるね。友人なのにセックスを行なうのだから」
「それはセックスを行なう友人という事だろう。微妙と言えば微妙だが友人とは違うし別の話だよ」
「そうなのかもしれないね。それで、その差異がどうかしたのかい?」
「僕は遊びたいけれどセックスは行ないたくないのだよ」
「では友人を作り恋人を作らなければ良いのではないかな?それの何処に問題が在るのかな?」
「問題は此処からでね。セックスは行ないたくないけれど恋人は欲しいのだよ。僕の定義ならば、恋人ならセックスを行うという事になるけれど、それは嫌なのだよ」
「では定義を変更すれば良いのではないかな?」
「仮に僕の定義を変更出来ても、世間的には恋人同士はセックスを行うものだという暗黙の定義が在るのだから難しいよ。僕がそうであるように相手も暗黙の定義の中に居るのだから。得てして暗黙という類の事柄は強力だからね」
「それが問題、ね。では幾つかの提案を行おうか。解決策ではなくあくまで提案だけれど。一つ、同じような定義の持ち主を探す。二つ、相手の定義を変更させる。三つ、我慢してセックスを行なう」
「一つ目は少なくとも日本では難し過ぎるよ。暗黙の定義の中では圧倒的な少数派なのだから。相手が性的不能とかではない限りはね。二つ目は僕には無理だよ。そのような事を相手の不快感を呼び起こさずに行なう方法が分からないし技術も無い。三つ目は不可能ではないけれど、それを回避したいからこその話なのだよ」
「だろうね。さて、どうする事が良いのか。僕としての意見はね。焦る事は無いと思う、という程度かな」
「焦らない?」
「そう。焦らないし急がない。これが一番だと思うよ。恋人が欲しいとは言うけれど特別に好きな異性が居るわけでもないのだろう?異論反論が在るだろうけれど恋というものの厄介なところは盲信だからね。他に独占欲なども在るけれど盲信も負けず劣らず厄介だよ。特別に好きな相手の為ならば、と常識や理性が麻痺している状態で判断し行動する。危険とも言える恋の厄介なところの一つだからね」
「つまり、結論としてはどういう事なのかな?」
「特別に好きな異性が現れれば解決するだろう、という事だよ」
「何故に特別に好きな異性が居ないと思うのかな?居るかもしれないだろう?」
「居ないよ。恐らく、という程度の勘が根拠でしかないけれど、それでも君の雰囲気から分かるよ。それに特別に好きな異性が居るならば先ずは振り向かせる方法を、振り向いて貰えたならば更に仲良くなる方法を、粗が見え始めたならば解決する方法を訊くのが普通でね。仮に普通ではなくとも行なう前のセックスの問題なんて話にも上らないよ。セックスを行った後ならば未だしも、ね」
「そうかもね」
「それに君なら相手のセックスが下手だというならば兎も角、行ないたくないという事ならば相手に直截に言うと思ってね。僕なんかに訊かずに」
「それはどうだろうね。さておき、ありがとう。参考になったよ」
「それは良かった。けれど参考程度にしてくれよ。所詮、僕の意見で君の意見ではないのだから」
「勿論。分かっているつもりだよ」


これも一つの話。