夏夜の闘争

友人と喧嘩をした。喧嘩をするなんて僕は自身で思っていたよりも若い。体力も腕力も無い僕なので口喧嘩。喧嘩とは言っても声を荒げたりする事が苦手で嫌いなので心情とは裏腹に淡々とした口調だったけれど。喧嘩ではなく口論の方が近いのかもしれない。
喧嘩の原因は僕と友人の行動様式の違いから発生したものでどちらが悪いというわけではない。僕と友人の考え方、それに伴なう行動の違いは違う人間なのだから当然存在し、その差を僕が不愉快に感じたというだけだ。強いて「悪」という概念を決定するならば僕の心理的領域の狭さが悪いのかもしれない。「悪」を決定する意味と必要性は無いのでしないけれど。
友人に言われ僕自身も認識している事だけれど僕は許せない程の不愉快ではないけれど確実に不愉快な気分になった時「注意する。皮肉を言う。口数が減る」などで不愉快を表現する。許せない程ではなくても不愉快は蓄積されているわけで不愉快が重なれば我慢の限界を超える。僕は喧嘩や雰囲気が悪くなるのが苦手なので出来れば限界を超える前のこの時点で何とかしたい。何とかしたいから(僕にとっては)やんわりと気付いてもらえるようにしようとしている。そして限界を超えそうな時になって初めてはっきりと言う。
けれど僕は「僕が不愉快なのだから不愉快でないようにしろ」と言うつもりはない。そんな事は言わないし思ってもいない。「そのような行為は僕を不愉快にする」という事を知ってもらえれば充分だ。
友人が友人の思考に基づき行動するように僕は僕の思考に基づき行動する。思考の違いはレベルの違いではなくステージの違い。だから相手の思考や行動を変えるようになんて言わない。
只、僕は僕が不愉快になると知っている行為を知っていながらも繰り返す人間と会いたいとは思わない。僕は不愉快を受け入れられる程に寛大ではない。そして友人関係というものは無理に続けるようなものではないと思っているのだから。