花の命は短い

知人から急に「君の誕生日はいつだっけ?」という質問が届く。誕生日プレゼントをくれるのかと思いきやそういうわけでもないらしく、一体どのような理由によりそんな事を訊いてきたのかは教えてもらえず意図が全く分からないので不安に。謀り事?しかしながら隠すのも不自然なので教える。
その後、思いつくままに言葉を羅列する事にかけては僕の右に出る人は居ないのではないか、というくらいに知人の誕生日を訊いたりして話を続けていたら言ってしまった。この知人は僕と同い年で、そして最近僕と同世代の知人が次々と結婚する事になった事が頭の片隅に残っていたせいか、うっかりと「花の命は短いらしいからね」と言ってしまった。
舌打ちされた。これ見よがしに。
思いつくままに話していたせいか地雷を踏んだようだった。怖いので雰囲気を和ませようと「君は花だったのかい。それは知らなかった。いや、気付かなくて申し訳無い」とでも続けようかと思ったのだが、舌打ちに続いて「余計な事を…」と呪詛のように呟かれてしまったので黙った。何やら思い当たる節が在るらしい。僕と同年代だしもう散り始めていたのかもしれない。既に散ってしまっているという可能性も考えられるが、さすがにそれは言えない。君子危うきに近寄らず、口は禍いの門。火に油を注ぐような真似をしても良い事はない。分かってはいるけれど僕は君子ではないので好奇心に負けるし口は閉じないし火に油を注ぐのは得意だ。
ろくでもない。道理で僕には友人が少ないわけだ。