人の情け、世の情け

人情。それが僕には理解出来ていないらしい。僕自身、余り意識した事が無かった。だから言われて意識してみた。言われてみれば人情というものが理解出来ていない。人情。人間として自然に備わっている心、特に愛情、情け、思いやり、の動き。勿論、その程度の辞書的な意味程度ならば理解しているけれど実感として理解出来ていない。不可解で不思議なものと認識している。その事で説教めいた説明を受けたけれど、やはり実感としての理解は無い。人情とは人間関係において重要な要素らしく、僕に人情を説明した人間は如何に大切かも説明していた。大切らしいという事は僕も僕なりに理解しているつもりだったし説明を受けた事でも理解したつもりだけれど、人情を理解していない僕としては何故に大切なのかまでは、やはり理解出来ない。
『興味の無い人間。それでも幾度も会っていれば親しみが湧く。逆説、幾度も会っていれば自然と親しみを覚える。それが人情。努力を行なっている人間。そのような人間を見れば応援したくなる。それも人情』
切っ掛けも無く親しみを覚える事、それが僕には理解出来ない。何らかの理由が在り、特に関心の無かった人間に興味を持つ。それならば僕にも理由出来るけれど。努力している人間。僕に関わらない限りは興味が無い。興味の無い他人が努力している姿を見ても僕は何とも思わない。
僕は人情味の無い人間なのだろうか。辞書に因れば人間として自然に備わっているはずではなかったのか。僕は人間として不自然なのか。それとも辞書が誤っているのか。


どちらにせよ僕が人情を実感として理解する日は遥かに遠い。