栄養価は高そうな食事

睡眠欲の増加と比例するかのように食欲が低下してゆく。完璧なまでの夏バテ。多分お腹は空いているのだろうけれど食べる気にならない。多分、と記したのはお腹が空いている実感が無いから。感覚までも暑さに侵されたのかもしれない。
けれど実感が在ろうと無かろうと身体は間違い無く栄養を求めているわけで、身体が求める程度には栄養を補給しなければ身体の何処かに負担と異常が発生する事もまた間違い無い。
負担は兎も角、異常の発生は回避したいので食事。食事回数が少なくとも問題が発生しないように高い栄養価が在ると噂の鰻。栄養価が高いのは有り難いが鰻の味は殆んどがタレの味で、しかも僕はタレがそんなに好きなわけではなく少し食べると飽きてしまう。僕には味付けが濃過ぎるのかもしれない。
さて、どうするか。味付けを薄くして食べたいが僕は鰻の調理法を2つしか知らない。一つはお茶漬け。もう一つは卵閉じ。只でさえ暑いのにも関わらず熱いお茶漬けを食べる気にはならないので卵閉じを選択。卵も高い栄養価を誇る物だし相乗効果など望めないだろうかなどと思いつつ適当に火を通し完成。
食事開始。うん。確かに味は薄くなって僕には丁度良い。しかし忘れていた。
僕、卵もそんなに好きではなかった。
そんなに好きではない鰻とそんなに好きではない卵で作った料理はやはりそんなに好ましい味ではなく僕は微妙な気分で食事をする羽目になった。