流言

「昆布を食べると髪が黒くなる」とか「夜に爪を切ると親の死に目に会えない」、「笑う門には福来たる」などの類の言葉が嫌いではない。それが事実とは違っていても古人の想像や発想の結晶だろうし何よりも面白い。それらは言葉は悪いが「こじつけ」や「でっちあげ」の場合が多く根拠が無いのにも関わらず人間の行動を制限する事が在る(根拠が在れば人間の行動の制限の理由になるのかと問われれば僕は疑問形でしか答える事が出来ないが今はさて置く)。因果の誤りとでも言うべきものなのかもしれない。
さて、友人に会ったところ「溜息を吐いた分だけ幸せが逃げてゆく」という言葉を教えてもらった。この言葉が信ずるに足る言葉だとは思わない。溜息と幸せの関連性が僕には全く分からない。分からないものを何ら疑問を抱かずに信じる程に僕は盲目的ではない。しかし面白い。
僕が知らないうえに分からないうえに信じていないだけでこの言葉が事実だと仮定したら疑問が在る。僕はそれほど溜息を吐いているつもりはないのだけれど、そんなに溜息を吐いているのだろうか。それとも一度の溜息で大量の幸せが逃げてゆくのだろうか。