僕は普段ほとんど夢を見ない。人は眠ると幾つもの夢を見ているが覚えていないから見ていないと思う、と聞いた事もあるが、それならそれで僕は夢を覚えている事がほとんど無い。
そんな僕だが久しぶりに夢を見た。
赤色の獅子と銀色の狼と金色の子猫が話していた。
その象程もある大きさの獅子は檻に入って居た。
狼はその獅子が入っている檻の前に座って居た。
子猫は檻の中と外を自由に出入りしていた。
獅子「いつまで其処で見張ってるつもりだよ」
狼「死ぬまで」
獅子「楽しいか?」
狼「君は役目に楽しさを求めるのか?」
獅子「俺に役目なんてねぇよ、おめぇと違ってな」
狼「そうだな。だが私の役目は君を其処から出さない事だ」
獅子「出たかったら出る。おめぇは俺を止められないだろ」
狼「確かに本気の君は私には止められない。それは仕方が無い。しかし君は滅多に本気にはならない。本気でない君なら止められる」
獅子「そんなの居なくても一緒じゃねぇか」
狼「そうでもない。私の役目は少しでも長く君を其処に止める事なのだから」
獅子「つまんねぇ役目だな」
狼「どうかな。私は存在していて楽しいと思った事が無いから判断出来ない」
獅子「つまらねぇ奴」
子猫「ね、ねぇ、仲良くしようよ」
狼「それは不可能だ。私は正直、君達が嫌いだ」
子猫「な、なんで?此処には僕達しか居ないんだよ?仲良くしようよ」
狼「不可能だ」
獅子「こいつに言っても無駄だ。俺達だけで仲良くしようぜ」
子猫「だ、だって」
獅子「俺達が嫌いなんだってよ。どうしようもねぇ」
子猫「僕達しか居ないのに」
獅子「俺もこいつは嫌いだしな。俺を閉じ込めている本人だぜ」
子猫「そ、そうだけど」
子猫が泣き始めた。
獅子「泣くな。分かった。こいつと仲良くする。だから、な」
子猫「ほんと?」
獅子「あぁ本当だ。おい、いいな」
狼「君はいつも彼にだけは甘い」
獅子「うるせぇ。おめぇには関係ねぇ。それより仲良くしろよ」
狼「不可能だ。私は君達が嫌いだと言ったはずだ」
獅子「てめぇ殺すぞ」
狼「それも不可能だ。知っているだろうに」
子猫「僕、ヒーローになりたかった」
獅子「急にどうした?」
子猫「僕がヒーローだったら、僕が強く優しかったら皆仲良くできたかもしれないのに。僕がヒーローになれなかったから」
子猫は泣いたまま言った。
目が覚めた。
意味は分からない。