近いけれど届かない距離

こんな僕にも仲の良いと思える友人が居る。どんな僕かはさておき、そして相手が仲が良いと思っているか、更に追求するならば友人と思っているかどうかは別にして。
性格は似ていない。僕は僕にとって恐ろしい事に僕と同じような性格の人間と特に仲が良くなる傾向にあるようだけれど性格は似ていない。かといって対極でもない。性格的には関係性や接点が無い。
趣味が同じ、と言えばそれまでなのかもしれないけれど必ずしも同じような趣味ではない。それに趣味が同じというだけならば他にも居るが特に仲が良いとは思わない。僕が思わないだけで相手には思われているかもしれないが。
価値観が一致する、という事もない。僕にも僕にとって重要だと思う事が無いわけでは無いけれど、しかし友人が大事だと思っているという事と一致していない。少なくとも今まで話をした限りの内容では一致していない。
理由。もしくは原因。それは何か。
辿ってきた人生の道筋、その概要が似ている。という事だと思う。他人なのだから同じという事はない。道筋そのものだけならば似ていないのかもしれない。
けれど。その概要という事ならば似ている。
勿論、幾ら友人だからといって全てを知っているわけではない。むしろ僕が知っている事なんて僅かな事だろう。それでも足跡の概要は似ている。人生山在り谷在り、などと言う言葉が在るけれど、それに則って喩えるならば山や谷の在り方が似ている。山や谷の配置図が似ている。
それだけの単体理由なんて事はなく複合理由なのだろうけれど最も大きい理由、一番の割合を占める原因は概要の類似だろう。こんな分類に意味が在るのか、こんな分断に意義が無いのか、そんな事を僕は知らないけれど。


しかし、似ているという事は絶対的に違うという事でもある。