ドロップ・アウト

僕の周囲の人間には知識を所有している方が良いという思い込みが在る。想像力を所持している方が良いという信じ込みが在る。けれど本当にそうなのだろうか。
勿論、知っているからこそ対処可能な現実は在るし想像するからこそ回避可能な未来は在る。
でも必ずしもそれだけではない。人間は知ったが故に動けなくなる事が在るし想像してしまうが故に躊躇してしまう事が在る。例えば知らなければ嘘を吐けないし例えば想像できなければ未来に恐怖を覚えない。
一面性の意味だけで構成される物事は無い。多面性の意味の中から目につく事や気に入った物を選択しているだけで、普遍的意味なんてものは如何なる場合にも存在し得ない。知識や想像力も同じで必ずしも所有している方が良いなんて事は無い。
なんて事は知識至上主義や想像力至上主義についていけない落ちこぼれの戯言に過ぎないのだろう。僕には知識も想像力も無くて中途で半端な虚実を捏ね繰り回して戯言を弄す程度の事しか出来ない。