自分の知らない自分の中の物語

酷かった体調も最近になって少しずつではあるけれどようやく回復の兆しが感じられるようになった。恐らくは小康状態でしかなく完全な回復はしないのだろうけれど、それでも随分と楽な日々。


友人達が作った舞台を友人達と観た。4人の舞台を4人で。役者と観客が同じ人数というのもどうかと思ったが小ぢんまりとした小学校の体育館みたいな場所だったから僕等4人の為だけに舞台を行なってくれたのかもしれない。
どういう舞台だったかは覚えていない。正確には知らないのだろう。
只、後半の後半、そろそろ終焉だろうという箇所で問題が起きた。物語の主役である男性(以下A)と女性(以下B)が接吻をしようという段階になって僕達と一緒に観ていた男性(以下C)が「お前はAを選ぶのか!?」というような台詞を主役の女性に言いながら舞台に乱入したのだ。
物語に感情移入したのかどうかは分からないが現実と舞台上の物語がCの頭の中では混ざってしまったようだった。
不幸中の幸い、というか役者も観客も全員友人同士だ。問題は問題だが関係者以外に迷惑を掛ける大きな問題でなくて良かった、と僕は思った。
そして友人同士だからこそ知っている。BとCは恋人同士だが最近上手くいっていないらしいという事を。
だからといって舞台と現実が一緒になるか普通、と思っていたらCが何やら色々と弁解らしき事を言っていた。僕に詳しい内容が分からなかったが要はもう一度やり直そうという事だった。Bは困った様子で今までの事や現在の問題点を挙げていたが、僕にはやはり詳しい内容は分からなかった。何故かAは二人の仲裁に入っていた。
既に舞台は物語の為ではなく痴話喧嘩らしき事の為の舞台になっていた。三人以外の人間は興味深そうに眺めているだけだった。僕も一緒に観ていた隣に座る友人の女性(以下D)が小声で「どうなっちゃうんだろう」とか「既に舞台じゃないよね」と話し掛けてくるのに返答しながら見ていた。
そうこうしている内に問題が解決したのかCは舞台に上がるとBと抱き合って接吻をした。Aは心なしか疲れたような表情だったけれど同時に満足そうだった。Dから「良かったね」などと言われた僕は「そうだね」と答えた。
「そういえばさ」とDが続ける。「こういうのって何て言うんだっけ?」と訊かれた僕は考えるよりも先に何故か頭の中に「えた」という言葉が「さやえんどう(みたいな物)」の絵を矢印で示す図が浮かんだので反射的に「えた?」と言ったら「違うでしょ!」と思いっきり怒鳴られた。
なんて理不尽な怒りだろうと思った。


という夢を見た。何だ、この夢は。
僕は殆んど夢を見ない(覚えていない)為か夢の内容が面白く興味深い反面、少し不安になる。内容の意味が分からないと尚更。自分の事ながら既に理解は諦めたけれど。
ちなみに登場した友人(という設定だった人)達は現実では誰一人知らないし見た事も無い。